第54章

大島莉理は、氷のような目で彼女を見据えた。

「よくそんな恥知らずなこと、平気で言えるわね」

加藤柚奈は、花が咲いたみたいに笑う。

「恥って、いくらするんです?」

あっけらかんと認めた。

「田中社長を手に入れられるなら、恥知らずだろうが何だろうが、やれって言われたら何でもします」

加藤柚奈は、大島莉理が座っていた椅子にどっかり腰を下ろし、足をぷらぷら揺らしてみせた。

「ねえ、どうしてこの椅子、替えなかったと思います?」

大島莉理は無表情のまま、視線だけで答える。

加藤柚奈は唇を歪めた。

「いつか私は、あなたのオフィスと椅子を奪うだけじゃ済まないから」

田中尚哉がいないこと...

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